天変地異説を語るとき、大洪水伝説は避けて通れません。
過去に有ったと聞き及んでいるのですが、何か、確信の持てるものはないかと思い、探してみようと思い立ちました。
購入してそのままになっていたヴェリコフスキーの著書「激変の地球」が有ったことと思い、読んで見ると、思いのほか過去の学術論文が引用されていて、その中で、地質学的証拠と思う記述が有ったので紹介します。
ヴェリコフスキーについては別の関連記事に説明があります。↓
ジョセフ・プレストヴィチ(イギリスの地質学者、1812 – 1896)による本の内容が引用されています。
ジョセフ・プレストヴィチ(一八一二 ー 一八九六)は、多くの不思議な事実にショックをうけた。そのことから、「イギリス南部は、かつて氷期 ー もしくは後期氷河時代 ー と現生代あるいは新石器時代(後期石器時代)の間にほぼ、一000フィートの深さまで水没した」と確信するにいたった。
引用:ヴェリコフスキー 「激変の地球」 P61
これによると後期氷河時代に、イギリス南部が、1000フィートまで水没したことがあるとの記述があります。
1000フィートということは、約300mとなります。
これが事実ならば現象としては、大洪水であると言えます。
引用によると「確信するにいたった」とあるのですが、なぜ、そう思ったかと言うと、ある岩盤の割れ目に中に動物の骨がぎっしりと詰まっていたからだと書かれています。
骨は「砕けて無数の破片になっており、完全な形の骨格は一体も見つからなかった。実際に骨はどうしようもないほどばらばらに散乱していて、骨格の態をなしているものはまったくなかった。それらの骨はどれ一つとして摩滅しているものはなかったし、ハイエナ、狼、熊、ライオンなどの骨と混在しているのに、猛獣に噛まれた形跡もなかった」
引用:同上
この表現を見る限りでは、なにもかもが、ごちゃ混ぜ状態なので、とてつもないことが有ったのだということはうかがい知れます。
ためしに、この引用元である本の原文を探してみましたところネットで見つけることが出来ました。
Joseph Prestwich:
長いですがこれが本のタイトルです。↑
この本の、P25-26に、洪水の規模のメカニズムについての考察がされています。
海では、50~100フィートの高さの洪水でも、岸に来ると何倍も高くなり800~1000フィートもの高さになると書かれています。
その速度も、時速5~20マイルズぐらいにはなるとも書かれています。
(1000フィートは300メートル、で時速20マイルは、時速32km)
下記は原文抜粋となります:
実際にこのぐらいの洪水が来たらなにもかもが巻き込まれてしまうので、骨がくだけてごちゃまぜになることはあり得るとお思います。
次に、ではなぜ、最初の50~100フィートの高さの海面上昇が発生しえたのかについてですが、これは、18,000年前から気温が上昇して氷河が後退し、10,000年前ごろに氷期が終了し、これにより発生したと考えられます。
もう一つの説としては黒海洪水説もあります。
最近はこの説が有力とWIKIでは書かれています。
(具体的には後氷期初期のある時点で、それまで淡水湖であった黒海が地中海と連結し、急速に海水で満たされたとき起こったとされる)
いずれにしても、急激な海面の上昇により洪水が発生したということになります。
海面の上昇により、陸地へのダメージが尋常でないことにつながるメカニズムですが、東日本大震災の事例からもわかりますが、それは、海面の高さが、岸に近づくと高くなるからです。
広い領域にある大量の海水が陸地に到達した段階で、深さ・幅に制限がでて、逃げ場がなくなり、その結果、海面が異常に高くになり、さらに速度も急速に増加するという現象です。
潮汐の波が川をさかのぼっていくことも同じ現象であると言えます。→ 海嘯(かいしょう)
この文献によると、骨がバラバラでごちゃまぜの層が有ったことは、そのようなことが起こったことは間違いないと思います。
まさに大惨事です。
以上、氷河期の終わりに急激な海面の上昇で、陸地に大きなダメージを与える広範囲にわたる洪水が発生したと考えられる地質学的証拠の一つを紹介しました。
大洪水は有ったと、よく聞くのですが、過去の文献から、その証拠となるものが実際にあったことがわかり、ますます確信を持てるようになりました。